請求書のアウトソーシング、まず何をすればいい?(第3回)

第3回「棚卸しした業務の内容を見える化する」

第3回は、棚卸しした業務の内容を見える化します。その上で、アウトソースする範囲を決めていきます。

「その1 現在の業務フローの確認」

第2回「業務の棚卸しをする」で業務の棚卸しをしましたが、その内容に基づいて現在の業務フローを確認し、作成します。例として、代表的なプロセス、業務に必要となる工程、おおよその手順は以下のとおりです。

(1)請求データの確定
会計システムなどにより、締め日ごとに請求データを確定します。企業様ごとに決められたルールに基づき運用されているかと存じます。

(2)請求データの作成
確定後、請求データを作成します。経理部門でなく、IT部門で担当されているケースもあります。

(3)請求書のプリント
社内のプリンターを利用して、請求書をプリントします。プリンターは専用プリンターであったり、複合機などを共有していることもあります。 また、IT部門で実施されている企業様もあります。

(4)チェック/押印
多くの企業様ではプリント後は封入封緘や圧着のプロセスに進みますが、企業様によっては、営業担当者が請求書の内容をチェックして、担当社印を押印している場合もあります。

(5)封入封緘/圧着
プリントが終了した請求書の紙を、請求先ごとに封筒へ封入する作業です。手作業で行っていたり、専用の封入機を導入されているケースもあります。
企業様によっては、封筒ではなく圧着タイプのはがきで作成されていることもあります。その場合は専用の圧着機が導入されていることが一般的です。

(6)郵便局への投函(とうかん)、他
ご担当者様が会社近くの郵便局に持ち込むことが一般的です。企業様によっては、郵便局が引き取りにこられることもあります。 これらのプロセスを順番に並べていきます。フローはあまり詳しく書く必要はありません。請求書発行に関するプロセスが順番どおりにモレなく記載されていれば大丈夫です。

なお、アウトソーシングにあたり委託先へ提供するデータについても把握しておく必要があります。こちらにつきましては、また改めて解説いたします。

「その2 手順書、マニュアルの作成」

アウトソーシングにあたり、社内業務、いわばノウハウを見える化するため、手順書やマニュアルを作成します。
企業様によっては、請求書発行業務に関する手順書を整備し、その中に業務フローを記載している場合も多いです。
この機会に業務棚卸しの集大成として、手順書を作成してはいかがでしょうか。手順書の作成により、属人化している業務を見える化し、他の方でも業務ができるようになるというメリットもあります。
ここでのポイントは、「どのような請求書を作成するかを明確にしておく」ことです。請求書の様式、用紙、封筒などの組み合わせなど、第2回で整理した内容を手順書に記載します。
作成にあたっては、実務に携わっているご担当者が業務フローに沿った内容で手順を記載し、役職者がその内容をチェックする方法が、現実的かつ合理的といえます。詳しいことはご担当者でしかわかりませんし、そのチェックを行えるのは現場の役職者です。

「その3 アウトソーシング範囲の決定」

アウトソーシングするためには、業務範囲を決めておく必要があります。そこで、第1回 と第2回で把握した内容を元に明確にします。

(1)アウトソーシングの目的
これは第1回「課題を見つける」で把握しました。

(2)リスクの洗い出し
アウトソーシングにあたり、プロセスごとにデータや現物の管理、どのようなリスクがあるかを洗い出し、リスク分析を行います。
本格的に行うと奥が深いですが、想定されるリスクの発生確率と影響度合いを勘案し、リスク対応を検討します。
リスク対応とは、リスク移転、リスク回避、リスク保有、リスク最適化の4つに分類されます。

(3)プロセスと役割分担
業務フローで把握した各プロセスを誰が行うか、役割分担を決めます。
この検討結果を踏まえ、外部委託業者にアウトソーシングするプロセスと、従来どおり自社内で行うプロセスを決めます。
自社内で行うプロセスも、そのプロセスが本当に必要か、内容を変更することは可能か、についても検討します。
この時、忘れてはいけないのが、郵便料金の支払い方法です。
現状、郵便料金後納契約や別納契約を締結されていればアウトソーシングにあたり手続きは簡素化できますが、締結されていない場合は、別途手続きとそれにかかる時間が必要となりますのでご注意ください。
ここまで整理できれば、あとはお客さまの環境にフィットした最適な外部委託業者を探すのみです。
外部委託業者選定のポイントにつきましては、改めて解説いたします。

いかがでしたでしょうか

以上、三回にわたり請求書発行業務をアウトソーシングするにあたり、まずなにをすればいいか解説いたしました。アウトソーシングは業務改善の大きなポイントとなります。
当初の目的が達成できるよう、社内および社外関係者と連携し、アウトソーシングを進めていくことになります。いよいよここからがスタートです。
なお、検討にあたりわからないことや整理しきれない事項も発生するかと存じます。そのような状態でもアウトソーシングは可能です。気になる部分がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

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