知っていると便利な印刷基礎知識~RIP編~

RIP(リップ)とは

RIPとは、「raster image processor(ラスターイメージプロセッサー)」の略で、「ラスターイメージの処理装置(プロセッサー)」です。 お客さまから入稿された印刷データを専門のソフトを使ってラスターイメージに変換し、印刷に使える形式に処理する工程です。 印刷の場合は版を作成する前に行われ、デジタルプリンターを使用する場合はプリントの前に行われます。

ちなみに、「知っていると便利な印刷基礎知識~印刷方式比較編~」にてデジタルプリンターはデータを直接専用のパソコンに読み込ませているとご紹介しましたが、そのパソコンにプリンターの特性に合わせた専用のRIPソフトが搭載されています。印刷の場合は、印刷機とは別でRIP装置を用意しています。
ラスターとは何なのか。何のために変換しているのか。簡単にご紹介します。

ラスターデータとベクターデータ

まず、RIPを説明するにあたり、画面上で画像を表現する形式「ベクター」「ラスター」というものをご説明します。
ベクターデータとは図形を座標で指定し、それを線で結んで作られたデータです。拡大、縮小するたびに、再計算されて線が表現されるため、いわゆる「画質が粗い」ということがおきません。デザイン制作に使われるIllustratorや、プレゼンテーションソフトPowerPointで作成する図形がベクターデータとなります。

対して、ラスターデータは点(格子状に並んだ升目)の集合でできたデータです。点の位置、数は固定されています。拡大すると点が大きくなるので、いわゆる「画像が粗い」という状況になります。デザイン制作に使われるPhotoshopや、Windowsに搭載されているペイントソフトで作成した図はラスターデータです。

※画像はイメージです。実際の比率とは異なります。

それぞれのソフトで図を描いて、拡大してみると実感できるかと思います。ぜひ確認してみてください。

網点表現

もう一つご説明したいのが「網点」です。印刷は点の大きさや密度によって、その明るさや色が混ざって見えるように表現しています。
実際の網点は、大変細かく、直径約0.03mmの網点から、100%ベタまで再現できます。点を拡大すると下の図の様になります。


また、これまでもカラーはインクを混ぜ合わせているのではなく、4色(C)シアン・(M)マゼンタ・(Y)イエロー・(K)ブラックの点の重なりによりカラーを表現していることをご紹介してきました。下の図のように、4色の点の重なりや、密度によって表現されています。


RIPで行われることとは

本題に入ります。 RIP作業は厳密には複雑な変換が無数に行われていますが、代表的なのが、次の2点です。

(1)画像・フォント等のデータを網点データに変換
(2)カラーを4色の網点データに変換

さまざまなソフトにて作成されたデータを特殊な効果(透明・ドロップシャドウ等)やフォント情報等も無い、印刷用の完全な網点だけで構成されたデータに変換しています。
印刷は4色の網点で表現しているため、ラスターでできたカラーの線のデータを4色の網点に変換しています。

おわりに

RIPについて、なんとなくお分かりいただけたでしょうか。印刷、デジタルプリント、どちらの場合にも避けては通れない工程です。実は複雑な演算がされているため、ごくたまに下版データの時点では表示がなかった線が出てきてしまったり、逆に消えてしまったりすることがあります。
弊社も細心の注意を払っていますが、お客さまの方でもIllustratorでデザインを作成される場合、非表示レイヤーや不要なオブジェクトを削除したり、大きすぎる・小さすぎる画像などないようご注意ください。
入稿データについてわからないことがあれば、担当営業にお気軽にご質問ください。

参考リンク・書籍

(web)一般社団法人 日本印刷産業連合会「RIP – 印刷用語集」(閲覧日:2021年6月25日)
(書 籍)カラー図解 DTP&印刷スーパーしくみ事典2015 発行・発売:株式会社ボーンデジタル

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