知っていると便利な印刷基礎知識~オフセット印刷編~
オフセット印刷とは
オフセット印刷という言葉をきいたことはあるでしょうか?印刷会社に印刷を頼まれたことがある方は耳にしたことがあるかもしれません。そんなオフセット印刷を図解で簡単にご説明します。
オフセット印刷機
印刷会社に印刷を頼んだことがある方は、オフセット印刷という名前は聞いたことがあるかもしれません。この、人の背丈よりも大きな機械がオフセット印刷機です。どんな機械なのか、どんな印刷方式なのか、気になってこのページにたどり着かれたのだと思います。
以前の記事「知っていると便利な印刷知識~用語編~」で入稿から納品までの印刷工程の用語についてご紹介しました。今回は印刷の基礎知識シリーズ第5弾として刷版と印刷方式に注目し、オフセット印刷についてご紹介します。
刷版とは
まずは印刷に必要不可欠な版についてご紹介します。版はインキを付けて紙に絵柄を転写させるハンコのようなものです。刷版とはその版を作成することです。
※上図は実際の比率とは異なります。実際の感光層の膜厚はアルミの支持体よりも薄く、2/1000mm程度です。手で触っても段差が分からない程の薄い層です。
版はPS版と呼ばれる親油性のある感光液が塗布されたアルミの板でできています。まず印刷デザインを読み込ませた装置にPS版をセットします。装置は読み取ったデザインの通りにインキをのせない部分をレーザー光で露光します。露光された部分の感光液がとれるというしくみです。
オフセット印刷のしくみ
最初の写真のオフセット印刷機を図にしました。ちなみに写真の手前部分は排紙部分です。大きな箱のようなユニットが八つ並んでいます。一つのユニットに1色分のインキと版がセットされています。
TLP知恵袋「知っていると便利な印刷基礎知識~印刷トンボ編~」などでもご紹介しておりますが、カラーはCMYK4色の細かな点の集合で表現されています。このオフセット印刷機はユニットが八つあるのは、ワンラインで表裏フルカラーの印刷ができるものだからです。
上の図はユニットの箱の中の断面図としてご覧ください。版胴は円柱状になっており、前項でご紹介した版が巻き付けてあります。
まず、親水性のアルミ部分(非画像部)に湿し水が付きます。
次に、親油性の部分(画像部)にインキが付きます。そして版についたインキは、いったんブランケット銅に転写され、それが紙へ転写され、印刷となります。
普段使うハンコと違う点は、でっぱっているところにインキが付くというのではなく、親水性、親油性を利用してインキを付け、いったんブランケットに転写してから、紙へ転写しているという点です。
ユニットの上からインキが均一になるようにセットしています。
くわえについて
オフセット輪転印刷独特の”くわえ”についてご紹介します。
先ほどの項で版を版胴にぐるりと巻き付けていることをご紹介しました。版の端を折り曲げて、版胴の溝に”くわえ”させて巻き付けています。
どうしてもその溝部分にインキがのらないので避ける必要があります。そのため、”くわえ”部分にはデザインを入れないようにお願いしています。基本はデザインの上下に2mmずつ余白をお願いしています。
連続と平判の違い
印刷に使う紙についても大きく二つに分けることができます。それが連続と平判です。
連続とはロール状に巻き取られた用紙を使います。大量に印刷する場合に適しています。
平判とはJISで定められた規格サイズにカットされた用紙を使います。(詳しくは「知っていると便利な印刷基礎知識~紙厚の単位編~」の「原紙寸法」をご覧ください)小中ロットに適しています。
UVインキと油性インキとは
使うインキによっても特性が異なります。オフセット印刷で使われる主要の2種類をご紹介します。※1
※1 一般的な場合のご紹介です。インキメーカーごとの性質の違いや、印刷機との相性、印刷現場の湿度等の条件などにより異なりますので、1例としてご覧ください。
油性インキ | UVインキ | |
---|---|---|
乾燥方法 | 紙への浸透乾燥または酸化重合乾燥(空気中の酸素との化学反応)または熱風乾燥 印刷後に紙を重ねた際、上の紙の裏に付着するのを防ぐために補助的にパウダーも併用します | UV照射による硬化 |
VOC※2 | 発生する | 発生しない |
メリット | インキを盛ることができるので鮮やかな印刷が得意 | インキを硬化させるので転写の心配が少なく、大量に高速に印刷できる |
デメリット | 乾燥なのでUVインキよりもスピードがでない | 印刷が入っている部分で折り加工をするとインキが割れやすい |
※2 VOCとは揮発性有機化合物(volatile organic compounds)の一つです。
TLPオフセット輪転印刷の特長
TLPではオフセット輪転印刷機を保有しています。印刷から穴あけ・キリトリミシン加工までワンラインで行えるところが特長です。工数を効率化できるので、コストメリットがあります。
インクはVOCを発生させず、空気を汚さず環境に優しいUVインキを利用しています。
また、オフセット印刷機以外にも、デジタルプリンターなど多彩な設備をご用意しております。数量や仕様などで最適な印刷方式をご提案いたします。
サンプルをご希望の方はお問い合わせフォームからご請求ください。
参考リンク・書籍
(web)一般社団法人 日本印刷産業連合会|印刷用語集|PS版(閲覧日 2020年8月11日現在)
(web)一般社団法人 日本印刷産業連合会|印刷用語集|非画像部(閲覧日 2020年8月11日現在)
(web)環境省|揮発性有機化合物(VOC)対策(閲覧日 2020年8月11日現在)
(web)株式会社T&K TOKA|UV印刷トラブル問答|UVインキの素朴な疑問(閲覧日 2020年8月11日現在)
(書 籍)カラー図解 DTP&印刷スーパーしくみ事典2015 発行・発売:株式会社ボーンデジタル
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