請求書のアウトソーシング、まず何をすればいい?(第2回)

第2回「業務の棚卸しをする」

面倒な請求書発行業務をアウトソーシングしたいそのときに何をすればいいのでしょうか。 三回に分けて解説します。第2回は「見つけた課題を掘り下げるために何をするか」について解説いたします。
更新日:2024年10月1日

「その1 6W2H」

一般的には5W1Hを使うことで課題を整理できますが、ここでは、より詳しく現状を把握するため、6W2Hに基づいて整理します。 項目は多いですが、ここでしっかり整理しておくと、あとの検討が楽になります。

(1)When いつ(スケジュール、時間、期限、頻度)
請求の締め日から請求書の発行日までのスケジュールや業務のサイクルです。
BtoBの企業であれば月末締めで発行されることが一般的です。請求翌月の第二営業日に請求データを確定し、第三営業日に郵送するなど、かなりタイトなスケジュールになっていることが多いです。 また、締めが5日ごとにあったり、月に六回もあったり、不定期に締め日が発生するお客さまもいらっしゃいます。
BtoCの企業であれば毎日発行していることも珍しくありません。

(2)Where どこで(場所、拠点)
本社部門が一括で行うのか、全国規模の企業であれば地区ごとに行うのかを把握します。

(3)Who 誰が(部署、役職、リーダー、担当、人数)
誰が業務を行っているかです。経理部門や総務部門といった組織、役職者と担当者といった役割、という観点で整理します。

(4)Whom 誰に(相手、関係)
BtoBの企業であれば請求先の企業、BtoCの企業であれば主に個人が対象となります。

(5)Why なぜ(目的、理由、必要性)
これはいうまでもなく、売掛金回収のための「請求書発行業務」です。

(6)What 何を(仕事の内容)
こちらも、「請求書発行業務」です。しかし、請求業務全体となるとデータ作成、入金確認業務もあり、奥深く幅広い業務です。 ここでは「請求書発行業務」にフォーカスして説明します。

(7)How どのように(方法、進め方)
これが整理におけるポイントです。 どのような請求書をどのような方法で発行しているか把握します。 「その2 部材と組み合わせ、設備、ルール」のところで解説いたします。

(8)How much いくら(コスト、数量)
これも重要なポイントです。 コストがいくらかかっているか、何通、何ページくらい送っているかを把握します。 「その3 いくら」のところで解説いたします。

「その2 部材と組み合わせ、設備、ルール」

部材とは用紙や封筒、設備とはプリンターや関連機器、ルールは方法をさします。 整理におけるポイントとなるため、五つの項目に分けて解説いたします。

(1)用紙と封筒
まずはどんな部材を使っているか、用紙と封筒の棚卸しをします。 請求書の用紙、封筒、宛名シール、台紙、その他使っている部材をそろえます。用紙は、会社ロゴや社印が印刷されているものや、複写式の連続帳票、コピー用紙を使っていることも多いです。封筒は、社内共通のものや請求書専用の窓空き封筒、似たような形でも微妙に違う封筒など、場合によっては「これ何?」というような部材もあるかもしれません。
さらに枚数の多い場合は、マチ付きの封筒に宛名シールを貼っていることもあります。
発行件数の多いお客さまや、BtoCのお客さまですと封書ではなく、はがきを利用されているケースもあります。
すべての部材をそろえるのは大変で手間もかかります。そのため、1番多く利用している部材をそろえるだけでも整理する上では十分といえます。

(2)組み合わせ
次に用紙と封筒の組み合わせを整理します。
請求書の枚数が一枚、または固定だったら組み合わせは簡単ですが、請求先や請求内容によって枚数が変わるケースがほとんどです。 封筒への封入枚数が何枚まではこの封筒、何枚以上は別の封筒を使うとか、封筒の大きさ、郵便物の重さによって分けていることもあります。
一方、全国規模の企業様では地区ごとに請求書発行のご担当者様がいる場合もあります。 請求書のデータは同じシステムから出力されるため様式は同じではあるものの、封筒への封入方法が異なるケースもあります。 件数の多い拠点は封入機を利用して、件数の少ない拠点は手作業など、同じ社内でもバラバラの運用になっているかもしれません。

(3)設備
請求書発行業務で利用している設備を調べます。
出力には社内の複合機、今や少なくなったドットプリンター、請求書発行専用のプリンターなど、さまざまな機器が利用されています。 請求業務専用であればいいのですが、共用のプリンターですと繁忙期に混雑し他部署に迷惑をかけたり、使いたい時に使えないなどの問題が発生することもあります。
さらに発行件数の多いお客さまは、プリント後の用紙を封入封緘する機器や、連続帳票を断裁する機器などをお持ちの場合もあります。

(4)ルール
どのような方法で発行しているかを把握します。
請求書を紙に出力してそのまま封筒に入れる、営業担当者や管理者が確認し押印してから封入する、経理担当者が最終確認するなど、いろいろなルールがあるかと存じます。
従来のやり方をそのまま踏襲している場合や、運用の見直しを行っている企業様もたくさんあります。

(5)発送方法
最後に発送方法を調べます。
請求書発行後にご担当者様が社内のメールセンターや配送室に持っていく、最寄りの郵便局に持ち込む、または郵便局に引き取りにきてもらうこともあります。急ぎの場合は個別にFAXで送信したり、請求書をPDFファイルにしてメール送信したりする場合もあります。

「その3 いくら」

最も重要なコストと数量を調べます。
コストは社外(主に経費)と社内(主に人件費)の二つにわけることができ、その2で把握した項目ごとに調べます。

(1)社外コスト
主に経費として社外に出ているコストを調べます。項目ごとに例示しています。

・用紙、封筒の発注先、費用、発注ロット、発注担当者など。
 (例)専用用紙は一回あたり****枚ロットで****円。
・設備、機器の代金、カウンター料金、リース料、保守料、修理費用、消耗品費用、光熱費など。
 (例)複合機のカウンター料金がモノクロ一枚あたり*円。封入機の保守費用は年間で*****円。
・発送費用、郵便料金、宅配便費用など。
 (例)定形封筒一通あたり110円、500通で55,000円。(郵便割引なし)

(2)社内コスト
主に人件費として請求書発行業務にかかっているコストを調べます。
社内コストは見えないコストです。この機会に細かく把握しておくと良いです。

・発行業務にかかっている人数と時間と期間など。
 (例)月末の1日に経理担当者二名が三時間かかっている。管理者の確認が二時間かかっている、など。
・設備保有に伴うコスト。
 (例)減価償却費など

いかがでしたでしょうか

普段、時間に追われて行っている業務も改めて整理すると、いろいろなこと、新たな課題がが見えてきたかと存じます。 いずれにしましても請求書発行業務は時間との闘いです。ここまでに把握、整理した内容は各社の知恵やノウハウの結集や、ご担当者様の努力の結果のたまものといえるでしょう。
第3回は、棚卸しした業務の内容を可視化(見える化)します。

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