DM(ダイレクトメール)の後加工と内国郵便約款

はじめに

印刷物には、印刷後に「後加工」と呼ばれる製造の工程があります。 後加工を施すことで印刷物の見た目や形状は変化し、新たな機能や特徴が加わります。当社では、さまざまな後加工を付加することでお客さまのご要望にお応えしています。 本記事では、当社のDM製造における代表的な後加工と、加工を施す前に知っておきたい内国郵便約款についてご紹介します。

折り

折り加工とは、製品の仕様に合わせて用紙を一回から複数回、折りたたむ加工です。
折り加工は印刷物における代表的な後加工であり、折り加工が施された印刷物はとても多く、DMにおいても例外ではありません。二つ折りや三つ折り、巻き四つ折りなどの折り加工を施すことで、さまざまな形状のDMを製造することが可能になります。

圧着

圧着加工とは、用紙の折り中面に専用ののりを塗布し、強い圧力を加えることで圧着する加工です。
圧着DMに使用するのりの違いについて、気づかれる方は多くはないと思います。代表的なものとして、紙面の質感に光沢のあるものやマットなもの、フチだけにのりが塗布されたものがあります。
後糊圧着で使用するのりの種類と特徴についてまとめました。

ニスのり
光沢があり、印刷をより鮮やかに見せることができます。

ゴムのり
マットな質感で印刷が落ち着いた印象になります。筆記特性があり、ボールペン等で紙面に記入していただけますので、返信はがき付圧着はがきにはこちらがオススメです。

フチのり
表面をコーティングしないため、紙面に影響がありません。紙の質感、印刷そのままの色味が生かせます。他の後糊圧着方式に比べると比較的安価です。

当社の圧着方式の詳細に関しては、以前の記事「圧着はがき、知っていると便利な「のり」の種類の違い」でご紹介しておりますので、ぜひご覧ください。
また、当社の圧着加工では、圧着を開くための加工として、「ズラシ加工」と「コーナーカット加工」がご選択いただけます。デザイン等に合わせてお選びください。

ズラシ加工

コーナーカット加工

丁合

丁合とは、用紙(パーツ)をページの順番通りに並べる工程です。
当社では、主にLメールの製造で行われます。Lメールとは本のような形のDMであり、カタログを封筒に入れずにそのまま送るようなイメージで、ページ数を多く取れるなどのメリットがあります。
Lメールの製造機械には全パーツ分の照合用CCDカメラを搭載しており、返信はがきなどへ宛名に合わせた可変印字を行っている場合でも正確にマッチングすることができます。
Lメールについては「送付書類がまとまる便利な冊子DM【Lメール】」でもご紹介しています。

ミシン入れ(ミシン目加工)

ミシン入れとは、紙を切り取りやすくする加工です。
切り離して使用するクーポン付きDMなどで、ミシン入れの加工が施されます。
ミシン入れは通常、紙の辺に対して平行に、紙面の端から端までの直線となります。そのため、紙の角部分に斜めにミシン入れをするなどの特殊な場合では、対応可能かどうか担当者に確認する必要があります。
ミシン目の代表的な種類をご紹介します。通常よりもミシン目の間隔が短く、より切り取りやすくなったマイクロミシン目や、紙面の中間でミシン目が途切れるジャンプミシン目などがあります。

内国郵便約款とは

最後に、加工を施す上で重要な日本郵便が定めている「内国郵便約款」についてご説明します。
DMを日本郵便のサービスを利用して発送する場合、この約款に基づいた郵便物にする必要があります。
本項目では、代表的な3点をご紹介します。

(1)はがきの形状は長方形と決まっている
はがきに近しい形状であっても、キャラクターの形や角を丸くするなどの加工を施すと、はがきではなくなり定形外郵便となります。最大、最小サイズについては、以前の記事「【はがき、定形、定形外】発送前に確認すべきサイズと重さ」をご覧ください。

(2)はがきの本体に加工を施してはならない
はがき自体にクーポン券などを付ける際に、切り取りやすくするためのミシン目のご要望をいただくことがあります。しかし、本体にミシン入れなどの加工を施すことはできません。どうしても切り取りクーポンを付ける場合は、V型圧着はがきなどにし、本体ではない方に加工を施すことをおすすめしております。

(3)往復はがきは往信はがきと返信はがきが、ひと続きでないといけない
往復はがきでは、送付先のお客さまが簡単に切り取りやすいようにと、ミシン目のご要望をいただくことがあります。しかし約款では、往信はがきと返信はがきは、ひと続きでなければならないという事になっています。そのため、折り加工を施すことを提案しております。

こちらでご紹介したものはあくまでも一部です。当社は、この約款で定められた基準のなかで可能な加工をご提案しております。DM企画のご担当者様は十分にご注意ください。詳細は、日本郵便のHPをご覧ください。

おわりに

いかがでしたか。簡単ではありますが、当社の代表的なDMの後加工についてご紹介しました。
複数の後加工を組み合わせることで、用途に応じたさまざまなDMを作ることができます。例えば、単面はがきだと掲載面が少ないけれど郵送料金を上げたくないという場合は、「折り」と「圧着」の加工を施した、V型圧着はがきがおすすめです。通常の単面はがきより、多くの情報を掲載することが可能になります。圧着はがきは同じ郵便料金で、2倍、3倍の紙面が取れるのぜひ非ご活用いただきたい加工です。
ご紹介した以外にも、カード型加工や目隠し加工など、さまざまな後加工を施したDMを取り扱っています。後加工や当社DMについて、気になる点やご質問などございましたら、お問い合わせフォームからお気軽にご相談ください。

参考リンク・書籍

(web)一般社団法人 日本印刷産業連合会|印刷用語集|圧着はがき(閲覧日:2021年8月24日現在)
(書 籍)カラー図解 DTP&印刷スーパーしくみ事典2015 発行・発売:株式会社ボーンデジタル

ページトップへ戻る