CMYKにまつわる豆知識

「CMYK」という印刷業界のキーワードにまつわる豆知識

家庭用プリンターも一般的になった今、皆さまもご存じのこととは思いますが、印刷物はC(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック)の4色を用いて全ての色を表現しています。 今や一般的になった「CMYK」という印刷業界のキーワード、こちらにまつわる豆知識をご紹介します。

四つの色の「網点」で印刷物は作られています。

1.昔は「YMCK」だった

オフセット印刷※1の場合、上記のような網点は印刷機の版※2があるユニットそれぞれにインキ※3をセットして、順番に刷り重ねていくことで作られますが、その刷り重ねの順番が、以前はY、M、C、Kとなっていました。
※1 現在主流となっている、インキと版を使った印刷方法。
※2 「ハンコ」の要領で、印刷内容を紙に転写するための型。
※3 一般的に「インク」と呼ばれますが、印刷業では慣習的に「インキ」と呼称します。

これは当時のイエローのインキの不透明度が他のインキに比べて高く、後から刷り重ねると他の色の網点を隠してしまい、色の再現がうまくいかないからだそうです。その後は、インキの厚みや乾きやすさなどの特徴から「KCMY」の順に刷り重ねる運用を経て、現在の「CMYK」に落ち着きました。

画像編集ソフトも「CMYK」の順で表示します。

もっとも、現在はインキの品質も向上しており、どの順番で刷っても遜色の無い仕上がりになると言われています。
※もちろん全ての印刷会社が上記のような刷り方を採っているわけではありません。各社の使用する設備やインキの種類、運用の方法によって差異があります。

上記のような歴史があるため、色情報を「YMCK」の順番で呼ぶ方がいた場合、昔から印刷現場と品質についてやりとりをしていたり、印刷現場に従事されていた可能性があります。詳しく話を伺ってみると面白いかもしれませんよ。

2.「K」は何の略?

C(シアン/Cyan)、M(マゼンタ/Magenta)、Y(イエロー/Yellow)と来て、Kは「Black」のKや、「黒(KURO)」のKと考えている方が多いですが、正しくは「キープレート/Key plate」のKです。キープレートとは、印刷物の輪郭や細部を表現するために使われていた版のことで、その版には黒色を使用していたことから、現在の呼称に至りました。

理論的には「CMY」で全ての色が作れます。

そもそもCMYKの減法混色※4の仕組みは、CとMとYの3種のインキで全ての色が表現できるものですが、実際の印刷物は、それぞれの色を網点にすることで色を混ぜたように人の目を錯覚させています。
※4 真っ白な素材に色を重ねて反射する光の波長を吸収(減法)させ、色を作っていく混色方法。これに対して真っ黒な画面に光を重ねて色を作る混色方法を加法混色と言います。R(レッド)、G(グリーン)、B(ブルー)の三原色を使い、モニターで色を表現する際に使われます。

網点で表現する黒色の違い。

しかし、CMYの3色だけで濃く暗い色を作ろうとすると、密度の高い網点同士を組み合わせることになり、どうしても実際にインキを混ぜた場合とのギャップが大きくなってしまいます。網点での表現にも限界があるのです。
そこで、濃く暗い色を作るためのサポートとして「K」の網点が三原色に加わっているのです。こういったサポート的な役割をする点も、もともとの版としてのキープレートの役割と似ていますね。

3.「リッチブラック」とは

真っ黒な黒色を作る際は先述のようにK100%で設定することが一般的ですが、より濃い黒色を表現したい場合はリッチブラックと呼ばれる黒を使用します。

リッチブラック

これは、K100%に加えてCMYそれぞれ30~40%ほどを加えた色で、文字や図形が通常より明瞭に目に飛び込んでくるようになります。高級ブランドのダイレクトメールや企業からの役員交代挨拶状など、ここぞ、という時の伝達ツールに使われています。
しかし、使いすぎるとデザインのメリハリがなくなってしまうので注意が必要です。また、インキを乗せすぎると乾燥の時間に影響がでるので、濃度の限度を設定している印刷会社が多いです。使ってみたい場合は、印刷会社に相談することをお勧めします。

さらに詳しい話は当社営業担当まで!

以上、業界外の方にも比較的理解しやすい、印刷の色に関する豆知識でした。日頃印刷会社とやりとりをされている方は、頭の隅に置いていただけると何かの折に役立つこともあるかもしれません。また、さらに詳しい話はぜひ当社営業までお問い合わせください。

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