知っていると便利な印刷基礎知識~紙厚の単位編~
知っていますか?紙の厚さを表す単位「kg(キロ)」
紙の厚さの単位はご存じでしょうか。 「よく知らないけど、薄いし“ミクロン(マイクロメートル)”とか?」と、思ったりするかもしれませんが、印刷業界では「キロ」という単位を使った「連量(かつては斤量という言い方もされていた)」を使って紙の厚さを表します。 印刷会社を利用されない方には厚さをキロで表すというのは、耳慣れないと思います。筆者も印刷会社入社以前は紙の厚さについて、厚い紙、薄い紙という感覚しかありませんでした。 今回は印刷の基礎知識シリーズ第3弾として、紙の厚さの単位についてご紹介します。
紙のサイズ規格について
紙の厚さの単位をご紹介する前に、原紙の規格寸法について知っておくとわかりやすいです。
印刷会社にお勤めの方以外、原紙を目にすることは少ないと思いますので、まずは身近なコピー用紙の規格をご紹介します。
紙にはJISにより定められたサイズの規格があります。よく耳にするコピー用紙の「A4」「B5」なども、実はJISにより定められた「紙加工仕上寸法」の規格となっています。
よく使う「A4」を例にとると、A判規格の1番大きいサイズA0(841mm×1189mm)から数字が増えるごとに、二つ折りになっていくイメージです。「A4(297mm×210mm)」はA0の紙を4回二つ折りにしたサイズの紙です。B判規格の紙も同様の法則です。
原紙の規格寸法の話に戻しますが、今ご紹介した「紙加工仕上寸法」の他に「紙の原紙寸法」という規格があります。
この原紙というのは、印刷会社が使う印刷用紙の規格です。印刷会社はA4の印刷物を作るためには、A4の紙に1枚ずつ印刷をするのではなく、大きな紙にたくさん面付けをして最後に断裁を行います。(面付けに関しては「知っていると便利な印刷基礎知識~印刷トンボ編~」をご参照ください。)
その大きな紙「原紙」にも規格があり、「B列本判」「A列本判」「四六判(しろくばん)」「菊判(きくばん)」といった種類があります。規格寸法はそれぞれ、以下のようになっています。
印刷する機械の大きさや、印刷物の大きさなどの条件により、使用する原紙の規格を使い分けています。
連量とkg(キロ)について
さて、紙の厚さの話に戻ります。
紙の厚さは、先ほどご紹介した原紙を1,000枚重ねたときの重さ(kg)で表します。これを連量(れんりょう)といい、単位はkg(キロ)です。正式には○○kgと表記するものですが、おおむね○○kと略して表記することが多いです。
ある厚さのA列本判の原紙を1,000枚重ねて、その重さが35kgだったとすると、その紙の厚さは「A列本判の35k(キロ)の紙」ということになります。(ただ、口頭で話すときは「A判35キロ」と略していうことが多いので、以後はその表現で記載します。)
逆に、同じ規格サイズでも厚さが違う場合は重さが当然変わります。別の厚さのA列本判の紙を1,000枚重ねたときに70.5kgであれば、その紙の厚さは「A判の70.5kの紙」ということになります。
ここで、先ほどの原紙の規格の話を思い出してほしいのですが、同じ厚さの原紙であっても、規格が変わるとサイズが変わりますので、当然同じ枚数を重ねたときの重さが変わります。この項で最初に紹介したA判の35k(キロ)の原紙(厚さにしてだいたい0.08mm)と同じ厚さの四六判の原紙を1,000枚重ねてその重さを量ると55kgになるので「四六判の55k(キロ)の紙」ということになります。
少し頭がこんがらがりそうですが、原則は理解して頂けたのではないでしょうか。表にまとめると以下のようになります。 横に並んでいる数字が同じ厚さの紙ということになります。数字が違いますが、規格違いで同じ厚さの紙ということになります。
ちなみに、紙の連量の話をするときは四六判のことが比較的多いです。違う規格の紙の連量を比較する際はまずは、四六判の厚さに換算して比較をします。それにもこの表があると便利です。
坪量(つぼりょう)
最後に先ほどご紹介した連量とは違う単位の紙の厚さの表し方を少しご紹介します。
先ほどの図にも、さりげなく「米坪(べいつぼ)」という項目を入れておりました。単位などからお気づきかも知れませんが、1㎡(平方メートル)の紙を測った時のg(グラム)数、つまり「g/㎡」で厚さを表しています。
印刷会社ではあまり使いませんが、コンビニやオフィスの複合機には坪量で紙の厚さが表記されていますので知っていると便利かもしれません。
まとめ
いかがでしたか?紙の単位は「kg(キロ)」でした。
少しややこしい話をしてしまいましたが、これがわかっていると印刷会社との紙の厚さのやりとりの際に便利です!逆によくわからないまま、うやむやでやりとりをしてしまうと、「四六判の55kg」で注文したつもりが「A判の57.5kg」で作られてしまった!ということも起こりうるので、気をつけてください。数字は近いですが、厚さは2段階も違います。
印刷物作成のやりとりで、よくわからなくなってしまった場合はお気軽に営業にご質問ください。
参考リンク
(web)JISC 日本産業標準調査会(閲覧日:2020年5月7日)
リンクページ