知っていると便利な印刷基礎知識~印刷トンボ編~

印刷の基礎知識シリーズ第4段

デザインの四隅についているトンボという記号の役割を知っていますか?習ったから何となくつけているという方もいらっしゃるのではないでしょうか。意味が分かるともっと印刷が楽しくなる、印刷の基礎知識シリーズ第4段です。

トンボとは何か

上の図にあるようなデザインの四辺の角と真ん中についている記号をトンボといいます。
真ん中の十字が虫のトンボのような見た目をしていることからそのように呼ばれています。他にもトリムマークなども呼ばれます。呼び方が複数あると、こんがらがるという方もいるかもしれません。
推察になりますが、トリムマークを見た日本人が、その見た目が虫のトンボに似ていることからいつしか“トンボ”とも呼ぶようになったのではないかと思われます。ですから、トンボもトリムマークも同じだということで認識いただければ大丈夫です。
今回は印刷の基礎知識シリーズ第4弾として、印刷会社の人に「トンボをつけて」と言われたから何となくつけてみた、という方や、デザインをお願いしているデザイナーさんがつけていたがよくわからないという方に、印刷トンボの役割をご紹介します。

断裁位置を示す

トンボの役割としては、まず“断裁位置を示す”というものがあります。
例えば、ご家庭やオフィスでA4のチラシをプリントする際は、A4の用紙にプリントをすると思います。
印刷会社では企業様から数千枚~数万枚の単位で印刷をご依頼いただきます。そのため、大量に効率よく印刷することに特化した大きな機械を使って、A4が複数面入る大きな紙に印刷を行います。
大きな紙に複数面配置して印刷を行った後に、A4の印刷物ならばA4のサイズに断裁して仕上げます。そのために、トンボという目印を付けるのです。ちなみに、紙の大きさや面付けの数は印刷会社さんが使用される機械の大きさや印刷部数によって変わります。

塗り足しを示す

先ほどの項では断裁位置の目印としてご紹介しました。
その断裁加工を行う際に一枚一枚切っていくのでは途方もなく長い時間がかかります。そのため、下の画像のように大量に重ねて断裁するので、どうしてもほんの少し断裁位置がずれることがあります。

そこで、断裁位置がずれても地の白い部分が入らないように、塗り足しという部分をつけます。

塗り足しを付ければ、数ミリ断裁がずれたとしても紙の地の色がでることがないので、断裁のズレは目立ちません。

塗り足しは基本的に3mmとなっています。オフィスの複合機などではどうしても四辺に余白が必要ですが、このように塗り足しを付けて断裁加工を行うことで端まできれいに印刷が入った印刷物をつくることができます。

版ズレを確認する

これは少し応用編の豆知識になるのですが、もう一つ、版ズレを確認するという役割があります。
トンボは一見、黒色に見えますが、実はレジストレーションというC100%、M100%、Y100%K100%の色でできています。
印刷はCMYK四色の色の重なりでカラーを表現していることを以前の記事「CMYKにまつわる豆知識」でもご紹介しています。四つの版(はんこの様なもの)を版画のようにだんだん重ねていくようなイメージです。※1

※1 カラーはC+M+Yの3色でも表現することが可能ですが、より鮮明に表現するためにKも使用されます。

印刷していく中で、版のセット位置のズレや、機械のネジの調子、フィルム等のやわらかくて調整が難しい素材への印刷等、何らかの状況で版のズレが発生する可能性があります。
それをCの版、Mの版、Yの版、Kの版のトンボで確認することができます。

見た目ででズレがわからないのかと思われるかもしれませんが、複雑なデザインであるとそれがズレなのかデザインなのか、判断が難しいところがあります。
それこそ昔の印刷では版ズレがよくおきており、それがまたいい風合いとして受け止められていました。今の機械の精度では定期的な機械整備、熟練の調整があれば、ほとんどずれなく印刷することができるのですが、あえて版ズレのようなデザインをしてレトロな風合いを出したものもあります。
ですからデザインを目視するだけでは判断できないのです。

まとめ

いかがでしょうか。 トンボ(トリムマーク)が基準にあるので、複雑なデザインでも意図した正確なものを作ることができるのです。さりげない存在ですが、とても重要なマークだということを、おわかり頂けたのではないでしょうか。
このように、さまざまな工夫や熟練の技術で印刷物はできあがっています。印刷物はTLPに安心してお任せください。

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