環境に配慮した用紙「バナナペーパー」のご紹介

はじめに

近年では環境配慮の高まりから、本来廃棄されてしまう素材を利用してさまざまな用紙が作られています。本記事では環境配慮を意識した用紙の一つである「バナナペーパー」をご紹介します。

バナナペーパーとは

バナナペーパーとは、バナナの茎の繊維とパルプを加えて作られた環境配慮を意識した用紙です。バナナは世界中で食べられていますが実は一度収穫をすると、同じ茎からは実りません。収穫が終わった茎は切られ廃棄され、根元から新しく生える芽が大きくなることで新たな実をつけます。またバナナの木は樹木の約10から30倍のスピードで成長し、約9か月で実をつける特長があります。本来、廃棄される茎を再利用し用紙としたものが、バナナペーパーです。

弊社では「ワンプラネット・ペーパー®」という製品名のバナナペーパーをお取引先様から仕入れております。この製品は、アフリカのザンビアで廃棄されるオーガニックバナナの茎から取った繊維と古紙やFSC®認証林を含む持続可能な供給源からのパルプを加えて作られた用紙です。この紙は、国際的なNGOであるFSC®の責任ある森林管理や加工・流通の規格に則り認証された紙で、適切に管理されたFSC®認証林、再生資源およびその他の管理された供給源からの原材料から作られています。

FSC®森林認証とは…森林減少など世界の森林が抱える問題や市民の環境意識の高まりを背景として生まれた国際的な森林認証制度です。

バナナペーパーと環境問題

このようなバナナの特性を活かし環境問題を解決する一つの手段としてバナナペーパーは生み出されました。現在世界規模での森林破壊が環境問題の一つとして深刻な状況にあります。森林破壊の原因は、さまざまな需要が起こす開発が原因となっています。森林から生産される農作物や森林から生産される木材、紙、また採掘される石炭や金属など世界中で利用されており、需要が起こす開発が一因となっています。具体的な例をあげると、世界では毎日100トン以上の紙が消費されており、その原料の約90％が「木」です。企業においてペーパーレス化が進んでいる現在においても紙の消費量は年々増加しています。需要に応えるために、違法な森林伐採が行われる事態も発生しています。このように世界全体の需要の消費量と比較して、木の再生量が追いつかなくなっている状況にあり生態系にも影響を及ぼす可能性があります。また、森林破壊は食料や燃料、現金収入を森林資源に頼る途上国の人々の貧困問題の深刻化にも繋がっています。これらの問題の解決策の一つとしてバナナペーパーは生まれたのです。前述のとおり一般の木が成長し伐採されるまでに10年から30年かかるのに対して、バナナの茎はスピードが速く1年以内に成長します。本来破棄されてしまう茎を利用しているため環境への影響は少ない素材です。

バナナペーパーと社会問題

バナナペーパーは、環境面だけでなく、社会面での利点もあります。バナナペーパー事業はアフリカ農村部の経済的に不利な立場にある人々から、廃棄されるバナナの茎を購入しており、彼らの収入を支えています。バナナの生産者はバナナの売上と廃材である茎の売上の両方で収入利益を得ることができます。そして、茎は地元の村の人々によって繊維が取り出され原料の作成をします。村の人々がバナナペーパー事業の仕事に就くことで、極度の貧困を回避することができます。この事業は、フェアトレード（公平貿易）（※１）の基準に従い、サプライチェーン（供給連鎖）を重んじています。バナナペーパーは環境面、社会面で多くの利点がありSDGｓの17目標全てに取り組んでいる製品です。

※１　フェアトレード（Fair Trade : 公平貿易）とは、発展途上国でつくられた農作物や製品を適正な価格で継続的に取引することより、生産者の生活を支える貿易のありかたです。引用：（　フェアトレードとは? (wakachiai.jp））

温かな風合いを感じさせる紙

バナナペーパーの特長は、紙の表面にバナナの繊維の粒が見え、独特の風合いを感じさせる点です。生産量に対しバナナの茎の繊維が5％の用紙と20％の用紙、2種類の用紙があります。ミックスされる量が多いほど繊維の醸し出す風合いが強いです。和紙の技術を用いて生産をしているため、表面はツルツル、裏面はざらざらしています。

印刷の適正もあり、弊社では2022年に名刺をバナナペーパーの用紙に変更しました。また、弊社ではFSC®-COC森林認証を取得しています。

ライセンス番号：FSC-C182216

FSC®-COC森林認証の詳しい説明に関しては、リンク先をご覧ください。