街で見かけた「感覚マーケティング」
感覚マーケティング(sensory marketing)とは?
近年マーケティング界では、消費者の五感(視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚)に訴えたコミュニケーションに着目した「感覚マーケティング(sensory marketing)」に注目が集まっています。もちろん消費活動を行う際に、体験してみて検討する重要性は以前から広く知られていますが、最近では感覚への訴求が意識下に及び、購買に影響することも認められているそうです。 ここからは筆者が感じた、街で見られる感覚マーケティングをご紹介してみたいと思います。
<触覚×味覚> ダンシング・クラブ
テレビなどでも盛んに取り上げられている、話題の「手づかみで食べる」シーフードレストランです。ボストンやサンフランシスコなど、アメリカの海沿いの地域で大流行し、数年前から日本に入ってきました。
【公式サイト】Dancing Crab(ダンシング・クラブ)
テーブルの上にそのまま出された料理を手づかみで食べていく様子にはぎょっとしてしまう人もいるかもしれませんが、食べ物を触れたときの感触の心地よさが味覚にも影響し、お店での体験を価値のあるものにしています。一緒に来た人たちとの連帯感も生まれ「また来たい」と思うように作用しています。
友人同士で山登りをした際、山頂で食べるお弁当がおいしいことは周知の事実だと思いますが、このように、決して衛生的にも環境的にも心地よくはない状態でも、ある体験(感覚)を共有することで、食事の体験としての価値が跳ね上がることがあります。ダンシング・クラブでは、その効果を手軽に発生させて、特別な体験を提供しているレストランであると言えます。
<嗅覚> ANAオリジナルアロマ
航空会社のANAでは、空港ラウンジや機内に、独自に開発したオリジナルアロマを使用しています。
これはもちろん空港や飛行機で顧客に快適に過ごしてもらうためですが、旅行や出張が終わった後でも、オリジナルアロマの香りとANAのサービスを受けた体験を結びつけ、より強く顧客に認知してもらおうというブランディングの戦略があります。
「ここでしか食べられないラーメン」「ここでしか望めない眺望」などと同じように「ここでしか嗅げない香り」にも非常に高い体験としての価値があります。
<聴覚> ファストフードのBGM
こちらはかなり以前から言われていることですが、飲食店のBGMのテンポを上げると顧客の回転率が上がるそうです。そのため回転率を上げたいファストフードはアップテンポのBGM、回転率が低くても構わないホテルのレストランなどはスローテンポのBGMが流れています。お店のBGMを聞いてどれくらいのスピードで食事をしようか考える人はなかなかいないと思うので、これも消費者の意識化に訴えかける感覚マーケティングであると言えます。
また、若者向けのファッションブランド、アバクロンビー&フィッチは店内で大音量のBGMを流すことで、ターゲットユーザーのみを来店させ、快適な店舗環境をつくっているそうです。こちらは「意識下」という感じではありませんが、聴覚をうまくマーケティングに利用した例であると言えます。
<触覚>に訴える紙媒体も・・
当社が取り扱うダイレクトメールや通知書、ビジネスフォームも<触覚>に訴えるマーケティングツールであると言えます。通知書であれば、信頼感や読みやすさを提供し、その結果ストレスの無い事務処理につながりますし、ダイレクトメールであれば、商品を魅力的に見せ、商品の購買や来店へとつなげます。
こちらも、以前より印刷会社が訴えてきたポイントにはなりますが、感覚マーケティングの機運の高まりによって、紙媒体の魅力がより皆さまに伝わることを願っています。
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